Category Archives: エンドEndodontics

治療終了後にかける言葉 What to say at the end of treatment

メインテナンス、修復治療、や外科治療など、どんな歯科治療が終わったときでも、日本語ならば、「お疲れ様でした。お大事に。」などと声をかけると思います。英語でそういった表現はあると思いますか。もしくはそのような一言を帰り際におかけになりたい場合、どのように言えばいいのでしょうか。

ドクターもしくはアシスタント:「今日はこれで終わりです。お疲れ様でした。」

Doctor or assistant:  “That’s it for today.  You made it!  Good job!”

or

Doctor or assistant:  “You are done for today.   Thank you for your patience.”

「今日はこれで終わります。」は想像がつくような表現だと思いますが、「お疲れ様です。」という表現は英語にはありません。意訳すると、

「治療中、長い間、じっとして下さって、ご協力ありがとうございます。」というような意味合いになると思います。

もっと、カジュアルにいうのならば、”You made it!” 「何とか切り抜けられましたね!」とか最近、日本語でも普通に通じるようになった “good job!” でもいいと思います。この言葉は特に、子供や若い人たちに使っていいと思います。

それでは、日本語でよく使う「お大事に。」と言いたいときは何と言えばいいのでしょうか:

Doctor or assistant:  “Please take care.  Please call if you have any questions or concerns, okay?”

直訳すると、

ドクターもしくはアシスタント:「お大事に。ご質問等気になることがあったら、いつでもご連絡下さい。」

日本語では「お大事に。」という一言で気持ちが伝わりますが、欧米では、それ以外に、「気になることや質問があったら、気軽に聞いて下さい」というニュアンスも必ずつけます。そうすると、患者さんは安心します。ですので、必ずと言っていいほど、

“Please call if you have any questions or concerns.” は付け加えた方がいいと思います。

 

 

「電動歯ブラシと普通の歯ブラシ、どちらがいいですか?」Which is better, electric toothbrush or regular toothbrush?

患者さんによく、「電動歯ブラシと普通の歯ブラシ、どちらがいいですか。」という質問は人種や文化に関係なく、よく聞かれる質問です。

この質問を英語でされた場合、どのように答えますか。

Patient:  “Which is better, electric toothbrush or regular toothbrush?”

or

Patient:  “Which do you recommend, electric toothbrush or regular toothbrush?”

Recommend は「おすすめする」という意味なので、”better”という言葉ではなく、「先生のおすすめするのはどちらですか?」という意味で、”which do you recommen?” という表現はよく使います。

Doctor or hygienist:  “Electric toothbrushes are easier to use.  You just have to place it at an angle at the gum line, move it along your arch, and it’ll do the work.”

ドクターもしくは歯科衛生士:「電動歯ブラシの方が使い方が簡単かもしれません。歯ブラシを歯と歯茎のラインに角度を付けて当て、それぞれに歯にのせれば、あとは自動的に仕事をしてくれます。」

Doctor or hygienist:  “Another good thing is it has a timer so it’ll tell you how long you are supposed to brush.”

ドクターもしくは歯科衛生士:「もう1つの長所は、タイマーが付いていますから、歯磨きの時間を管理してくれます。」

Patient:  “How often should I change my toothbrush?”

患者さん:「歯ブラシはいつ新しいものに交換したらいいですか。」

Doctor or hygienist:  “Every 3 months.  If the bristles widens earlier than that, you are brushing with too much pressure.”

ドクターまたは歯科衛生士:「3ヶ月ごとです。もしも毛先がそれよりも早い場合、ブラッシングが強すぎます。」

Patient:  “What are the advantages of regular/manual toothbrush?”

患者さん:「普通の、マニュアルの歯ブラシの良さは何ですか。」

普通の歯ブラシのことを “regular toothbrush” と言ったり、車でもクラッチ式の車をマニュアル車というように、自分の手で動かす歯ブラシを “manual toothbrush” と言います。

Doctor or hygienist:  “Well, it’s not that expensive, and it’s easy to carry around.  If you have the correct and proper toothbrushing technique and if you spend at least 2 minutes for brushing, you can still remove plaque efficiently.  That’s what studies show.  But it’s just more work.”

ドクターもしくは歯科衛生士:「値段がお手ごろですし、携帯するには便利です。正しいブラッシング方法と最低でも2分かけてお口全体を磨いていれば、プラーク(歯垢)は効率よく除去することは研究や論文でも証明されています。ただ、きちんとずっと歯ブラシに仕事をさせるのは、患者さん次第です。」

カリエス・う蝕の進行度を伝える(4):歯髄に達したう蝕 Explaining caries progression–Part 4: Caries to pulp

カリエスが歯髄に達した場合、英語で患者さんに何とお伝えしますか。これは以前、説明したかもしれませんが、復習も兼ねて、もう一度確認して下さい。

“Pulp”と言えば、歯髄だとわかる患者さんは少ないです。日本語と一緒で、「神経にまで行っている虫歯」という表現です。

Doctor:  “Your cavity is so deep that it’s now into the nerve.”

ドクター:「虫歯がとても大きので、神経にまで行ってしまいました。」

Doctor:  “You need a root canal.”

ドクター:「根管治療が必要です。」

“Root canal” は専門用語ですが、この言葉は、一般の方にも浸透しています。ですから、普通に使って大丈夫です。

ただ、”root canal”=「根管治療」とわかっていても、詳細を知らない方もいます。欧米の方はわからない場合、はっきりと「それはなんですか?」と聞いてきます。

Patient:  “So what is exactly a root canal?”

患者さん:「はっきり聞きますが、根管治療って一体何ですか。」

Doctor:  “Root canal is to remove the nerve or pulp from the inside of your tooth.  The tooth is cleaned and disinfected.  Then it is filled with a root canal material to seal that area that was cleaned. ”

ドクター:「 根管治療というのは、歯の中の神経を除去し、きれいにして、洗浄します。その後、空洞になった歯は、根管治療用の材料を使って封鎖します。」

では、もしもカリエスがとても大きくて、歯髄にとても近い場合は何と言えばいいのでしょうか。

Doctor:  “Your decay/cavity is very close to the nerve.  We will fill it today, but if you have pain, you will need to get a root canal.”

ドクター:「虫歯が神経の近くにあります。今日は、つめものにしておきますが、もしも痛みが生じたら、根管治療が必要になります。」

Doctor:  “Please call us if you have pain.”

ドクター:「痛みがあったら、ご連絡下さい。」

 

外科治療(抜歯)の際にかける言葉 What to say during surgery/extraction

抜歯を含む外科治療をする際に、かける言葉があります。

「麻酔は効いていますか?」

「麻酔で歯や歯茎を押す感覚はありますが、痛みがあれば、左手を上げて下さい。」

「これからトントン、あごがひびく感じがします。」

「大丈夫ですか?」

等々…

さて、これらを英語で何と言えばいいですか?

Doctor:「麻酔はきいていますか?」= ”Are you numb?”

“numb” は発音するときは、”b” は発音しません。髪をとかす「くし」の ”comb” も ”b”は静かですよね?

次に、「麻酔で歯や歯茎を押す感覚はありますが、痛みがあれば、左手を上げて下さい。」は

Doctor:  “You’re going to feel the pressure, but you shouldn’t feel any pain (if you are numb).  If you do, please raise your left hand.”

(if you are numb)の部分は入れても入れなくてもいいという意味で、「かっこ」にしておきました。

外科治療の際、マレット(骨ノミ)を使うことがあると思います。例えば:

  1.  骨癒着を起こしている、根管治療済みの歯・根を抜歯する場合
  2. 自家骨を使ったブロックグラフトを下顎枝から採取する場合
  3. オステオトームテクニックでサイナスリフトをする場合

その際、「これからトントン、あごがひびく感じがします。」など、色々な表現方法があると思いますが、このようなことを英語で何というのでしょうか。

Doctor:  “I have to hit the bone with some pressure.  It’s going to vibrate, okay?  Let me know if you are uncomfortable.”

“Vibration” と言えば「振動」なので、本当の意味では “vibration” ではないかもしれませんが、ポイントは、優しい、オブラートに包んだような言い方がいいということです。もしも、

Doctor:  “I am going to hit you with a hammer.”

ドクター:「ハンマーのようなもので歯・骨を叩きます。」(直訳した場合)

上記のように正直で、ストレートに表現すると、患者さんはもっと怖がってしまいます。

欧米は物事をストレートに表現しますが、歯科治療になると別です。

そして、この言葉はどんな歯科治療でも、何度も患者さんに声をかける意味で「大丈夫ですか?」とか「ご気分はいかがですか?」といいます:

Doctor or assistant:  “Are you okay?”

OR

Doctor or assistant:  “Is everything okay?”

とこまめに、気にかけることは必ずします。これは患者さんの様子を伺う意味でも重要です。普段の会話でもよく使います。

アレルギーについて聞く Asking about allergies

アレルギーについては、問診票でも、診査の時でも、口頭で聞く必要があります。どのように表現したらいいのでしょうか。

単純に「アレルギーはありますか。」と聞く場合、

Doctor or assistant:  “Do you have any allergies?”

と言います。

「お薬でアレルギー反応を示すものはありませんか。」と聞く場合、

Doctor or assistant:  “Are you allergic to any medications?”

アレルギーがなくても、何かの薬や抗生物質を飲んで、気持ち悪くなったり、胃の調子がおかしくなったりした経験があるかどうかを聞く場合、

Doctor or assistant:  “Have you had any stomach upsets with any medications or antibiotics?”

と言います。

これからの季節、「花粉症はありますか。」と特に、季節性のアレルギーがあるか否かを尋ねる場合、

Doctor or assistant:  “Do you have any seasonal allergy?”

と聞けば、「~~の花粉にアレルギーがあります。」と患者さんは答えるでしょう。

Patient:  “I’m allergic to ~~ pollen.”

と言います。

ですから、食べ物のアレルギーにしても、どんなものに対しても、アレルギーをあるかどうかを聞く場合、

Doctor or assistant:  “Are you allergic to any ~~ (food, animals, etc.)?”

というように聞けばいいのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

歯科で使われる英語の略語(3)Abbreviations used in dentistry part 3

歯科医院内で歯科衛生士さん、アシスタントさん、もしくは、歯科医師同士で使う略語はまだまだあります。

Lido (発音:ライド): リドカイン

Epi  (発音:エピ): エピネフィリン

Crown prep  (発音:クラウン・プレップ): 支台歯形成

O.S. (発音:O-Sとそのまま読みます):  口腔外科(Oral Surgery の頭文字をただ単にとりました)

Ext.   (発音:E-X-Tとそのまま読みます): 抜歯 (Extractionの最初の3文字をとりました)

FRS (発音:F-R-Sとそのまま読みます): ノンメタルクラスプデンチャーのことです。英語ではFRS と言います。”Flexible Resin System”の頭文字をとってFRS denture とか、FRSと言ったりします。

I & D (発音:I and D とそのまま読みます):切開 Incision・排膿 Drainage のことです。

2 x 2 (発音:two by two とそのまま読みます):  抜歯などで使う2インチx2インチのガーゼのことです。日本語のように「ガーゼ」と言っても通じますが、基本的に ”two by two” と言い方の方が普通です。

お休み明けの会話の始め方 Conversation starter after the holidays

長いお休み(年末年始、夏休み等)が明け,患者さんが治療のため来院した場合、欧米ではいきなり治療を始めるのではなく、お休みをどう過ごしたのかといった会話をします。欧米では、この四方山話を”small talk” と言います。

Small talk が上手にできると、患者さんも気持ちが和み、気分的に落ち着きます。そして何より、ドクターやスタッフたちとの距離が縮まります。

Small talk は歯科医院だけではなく、ビジネスの世界でも、ママ友の世界でも、どんなシーンでも重要とみなされています。ちょっとした世間話ができることで、その人の人柄、趣味、考え方、ライフスタイル等がわかります。特に、歯科医療従事者にとっては患者さんとのコミュニケーションのため、非常に重要です。

Doctor or staff:  “Happy New Year!  How was your holidays?”

ドクターもしくはスタッフ:「明けましておめでとうございます。お休みはどうでしたか。」

Patient:  “We didn’t do much.  It was quiet.  Just relaxed at home.”

患者さん:「特に何もしませんでした。静かにうちでゆっくり過ごしました。」

もしも、患者さんがどこかへ行った場合はこんな言い方をするかもしれません。

Patient:  “We went to Las Vegas and did the countdown.  It was so loud, and everybody was partying.  We had a lot of fun.”

患者さん:「ラスベガスに行って、カウントダウンをしました。にぎやかで、みんな、パーティー気分でノリノリでした。楽しかったです。」

患者さんは質問に答えたあと、「先生はお正月をどう過ごしたのですか?」とか「あなたは?」と、逆に質問したりする場合が多いです。

Patient:  “How did you spend your New Year’s?”  OR    “What about you?”

と言ったりします。

そしてどのような過ごし方をしたか、お話します。

色々お話をし、そろそろ治療を始める場合、こんな感じで切り出せばいいかもしれません:

Doctor or staff:  “Well, I’m glad to hear that you had a good time.”

ドクター又はスタッフ:「楽しい時間が過ごせてよかったですね。」

Patient:  “Yes, thank you.  It’s back to reality now.”

患者さん:「はい、ありがとうございます。でも現実に戻ってしまいました。」

Doctor or staff:  “True…  Same here.  So let’s get back to work!”

ドクター又はスタッフ:「本当ですね...私もそう思います。それでは現実に戻って、始めましょうか!」

と言った感じに、当たり前のことでもちょっとした話ができるようになると親近感も湧いてきて、治療以外でのコミュニケーションがとれるようになるのが small talk です。

歯科医療従事者の皆さんがsmall talk ができるお手伝いを Speak Dental Englishはこれからもしたいと思います。2015年もよろしくお願いします。

知覚過敏の説明 Explaining sensitive teeth or hypersensitivity

「知覚過敏」には様々な原因はありますが、今回は、「知覚過敏」と診断した場合、どのように患者さんに説明するかを取り上げたいと思います。

「歯がしみる」は “sensitive teeth” と普通の言葉でいいます。

「知覚過敏」は専門用語で ”hypersensitivity” と言います。

患者さん:「歯ブラシをすると、歯がしみます。虫歯があるか診て下さい。」

Patient:  “My teeth are sensitive when I brush my teeth.  Do I have a cavity?  Can you check it?”

とか

患者さん:「冷たい水を飲むとき、歯がしみるのですが、大丈夫ですか。」

Patient:  “My teeth are sensitive when I drink very cold water.  Is there anything wrong?”

というような表現をされたりします。

その説明として、英語ではこのように表現できます。これはあくまでも1例であり、色々な言い方があります。

Doctor:  “Our tooth is made up of enamel, cementum, and dentin.  Enamel is the outer surface of the tooth.  The root surface has a layer called cementum.  Underneath the enamel and cementum, there is a surface called dentin.  When the dentin loses its protective covering because of excessive toothbrushing, cavity, gum disease, etc., it exposes the small tubes or canals.  When a toothbrush touches that area or when you drink very cold drinks, it stimulates the cells in the small tubes and causes teeth to become sensitive.”

ドクター:「歯の表面にはエナメル質という層があります。根の表面にはセメント質という層があります。象牙質という層がエナメル質とセメント質の下にあるのですが、虫歯があったり、歯周病になったり、歯ブラシの当て方が強すぎたりした場合、歯茎が後退・上がったり(上顎の場合)・下がったり(下顎の場合)します。そうすると、象牙質にある細い管が露出され、歯ブラシが当たったり、冷たい飲み物を飲むと、その細い管にある細胞を刺激して、歯がしみたりします。」

Doctor:  “I recommend you to use a toothpaste for sensitive teeth for a few weeks.  This coats the small tubes of the dentin.  If this doesn’t work, we can apply a strong concentration of fluoride.  We also can put a white filling to block that area.”

ドクター:「市販の知覚過敏の歯磨き粉があるのですが、それを数週間 使って下さい。象牙質の細い管のコーティングをしてくれます。これが効かなかったら、高濃度のフッ素を塗布します。白い詰め物で治療をする場合もあります。」

歯の緊急治療・応急処置  Emergency/palliative treatment

急患もしくは歯の緊急治療で患者さんから連絡が来ることがあります。その場合、

緊急治療を emergency treatment もしくはpalliative treatment と言います。

Emergency treatment もしくは簡単に、emergency という言葉はどちらかと言うと患者さんが使う言葉です。患者さんと話すときは emergency という言葉を使った方がいいかもしれません。

患者さん:「歯がすごく痛くて、夜も眠れませんでした。どうにか診て頂けますか。」

Patient:  “I have a lot of pain, and I couldn’t even sleep last night.  Is there any way the doctor can take a look?”

スタッフ:「わかりました。緊急治療なので、どうにかお時間をお作りします。」

Front desk:  “Okay.  Because this is an emergency, I will try to squeeze you in.”

“Take a look” は診るとか、チェックする、とか見るという意味です。普段でもよく使う言葉です。

「どうにか入れます」というときに、”squeeze in” という動詞を使います。「予約でいっぱいですが、何とか入れる」という意味合いです。

専門用語で、緊急治療を “palliative treatment” とドクター同士で言ったり、アシスタントやスタッフと言ったり、カルテに書いたりします。Palliative treatment は 直訳すると、緩和治療となります。

ところで、膿瘍があり、切開・排膿をしなくてはならない場合、

Doctor:  “You have an abscess.  An abscess is a result of an infection.  I have to drain out the pus that accumulated.”

ドクター:「感染(もしくは化膿)しているので、腫れています。膿を出す必要があります。」

切開・排膿を専門用語で、incision and drainage と言います。頭文字をとって、略して ” I and D ”  とカルテに書いたり、ドクター同士だったり、アシスタントやスタッフに言ったりします。

そして、palliative/emergency treatment が終わったら、患者さんに残りの治療を終え、そして他の歯の診察をした方がいいという話をすると思います。その場合、以下のようにお話するといいでしょう。

ドクター:「今日は応急処置をしたので、とりあえず痛みから解放されます。治療途中なので、きちんと治療を終わらせましょう。そのアポイントをとって下さいね。それが終わったら、他の歯にも問題がないか、チェックした方がいいと思います。」

Doctor:  “This was an emergency treatment to get you out of pain.  Please come back to finish the rest of the treatment.  After that’s done, I recommend you to come back to check the rest of your teeth.”

 

 

 

D.D.S. とD.M.D.の違い Difference between D.D.S. and D.M.D.

アメリカは歯学部を卒業すると、「歯科医師」となります。仮に、ライセンスの試験に合格しなくても「歯科医師」であることを名乗れます(このトピックについてはまたいつか説明します)。「歯科医師」になると、D.D.S. または D.M.D.の学位がもらえます。では、その2つの違いは何でしょうか。今日はその説明をしたいと思います。

D.D.S. は Doctor of Dental Surgery の略です。

D.M.D. は Dentariae Medicinae Doctor (ラテン語) の略です。英語で言うと、Doctor of Dental Medicineです。ということは、D.M.D. はこのラテン語から由来するようです。

歯学部がアメリカにできたとき、D.D.S. という学位が一般的に与えられました。一説によると、Harvard大学に歯学部ができ(約150年前)、学位を与えるときにこの D.M.D. という学位が生まれたそうです。

Harvard大学の卒業証書はすべてラテン語が使われています。その際、D.D.S. という略語は使えなかったので、それに一番近い D.M.D. =Dentariae Medicinae Doctor (Doctor of Dental Medicine)を採用し、現在に至るようです。

アメリカには歯学部が58校ありますが、うち、36校はD.D.S.、22校は D.M.D. を使っています。基本的に東海岸にある歯学部はD.M.D.を使っていて、それ以外はD.D.S.を使っていると考えていいと思います。

ただ、新設校で、西海岸寄りにある University of Nevada Las Vegas School of Dental Medicineは D.M.D. を与えるので、一概にどこに歯学部があるかによって、学位が決まるとは言い切れなくなりました。

いずれにせよ、D.D.S.  でも D.M.D. でも、歯科医師になったことには変わりません。イギリスやオーストラリアは B.D.S.  (Bachelor of Dental Surgery)という学位を与えますので、国や場所によって名前が違うだけのようです。